ヨーロッパの経済…2009.5月
                          




□まず、ヨーロッパの経済についての記事から抜粋。
 なお、2009年5月。


 
■欧州経済の落ち込みがひどい。

 住宅バブルが崩壊したところにサブプライムローン問題が追い打ちをかけ、uBSなどの西欧金融機関の業績が軒並み悪化。

 生産や個人消費も戦後最悪のペースで落ち込んでいる。

 なぜ欧州経済は「米国より深刻」と言われるほど悪化したのか。
 その理由と現状をみる。

 英国の自動車ディーラーは金融危機以降、1割以上潰れた。」。

 英自動車ディーラーの会長はこう振り返る。

 昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻以降、信用収縮で 多くの企業が運転資金を調達できない事態に陥った。

 11月の英国の乗用車の新車販売台数は同月比36・8%減となり、ダブルパンチとなった。

 英政府は今年5月から、10年以上の中古車を廃車して新車を買うと2000ポンド(約28万円)支給するという制度を導入した。

 新車への買い替えによる経済の押し上げ効果を狙ったものだ。

 同様の制度で販売を前年同月比4割増とさせたドイツの成功にあやかったが、中古車市場の値崩れを懸念し、リース業界は反対のロビー活動を展開した。
 
 現在ドイツで売れているのは小型車で、ダイムラーやBMWの販売は大幅マイナスが続く。

 値引き競争も加速しており、フォルクスワーゲンは販売台数こそ持ち直してきているが、1〜3月期の最終利益は前年同期比74%の激減となった。

 「支援制度は需要の先食いで、ドイツの自動車販売は2010年に激減する」(エコノミスト)
といった見方も根強い。

 最大の市場であるドイツでの自動車販売の急増は、世界同時不況で新車の販売不振が続くなか、政策効果の表れとして好感されたが、疑問符がつけられている。

 しかも、この成功は、欧州の例外中の例外に過ぎない。

 国際通貨基金(IMF)によると、米国の09年の実質GDP成長率予想はマイナス2・8%。対して、ユーロを導入している16カ国(ユーロ圏)はマイナス4・2%。

 中東欧諸国も含めた欧州連合(EU)27カ国はマイナス4・0%と、米国より厳しい。

 米国発の金融危機はまたたく間に西欧に広がり、次いで東欧などの新興国にも伝播したが、危機以前から消費バブルの崩壊に見舞われていた国がある。英国やスペインだ。

 スペインでは過剰流動性を背景にした企業の合併買収などが相次ぎ、株式市場が07年4月に急落。
 住宅・建設株もパニック売りとなり、住宅バブルに消費者が気づいた。

 英国の住宅価格は、08年春以来、前年同月比マイナス幅が拡大を続け、住宅価格指数のハリファックス指数は09年2月に17・7%減を記録した。

 拍車をかけたのが、リーマン・ショックだった。

 住宅ローンを抱える一般市民の消費は一気に冷え込み、08年9月の新車販売はスペインが 前年同月比32・2%減、英国は21・2%減に落ち込んだ。住宅価格の下落も続いた。

 バブルに縁がなかったドイツにとっては、「米国のサブプライムローン問題は対岸の火事」 のはずだった。

 しかし、ドイツ銀行など大手銀行は、投資先が 見当たらないなか、米サブプライム関連の証券化商品に手を染めたため、その資産は大きく傷んだ。

 09年1月に公表した08年通期決算で、ドイツ銀行は39億ユーロ(約5000億円)の最終赤字を計上。同行が誕生して以来、初の赤字転落となった。

 国内2位のコメルツ銀行が100億ユーロ(約1兆2700億円)の追加となる公的資金注入を受けた。

 株主総会で重要な経営案件などに拒否権を発動できる「25%プラス1株」を政府に保有してもらい、部分国有化されることで合意した。

 同時にドイツを襲ったのが世界の需要減だ。

 Ifo研究所など国内の4大研究所は共同発表した文書で、09年のドイツの輸出は前年比で22・6%の激減になると予想。

 「世界の需要崩壊が、(GDPの38%を産出する)輸出産業を極端に難しいものにしている」との指摘をした。

 ドイツに限らず、西欧の産業界の苦境が目立ってきた。

 航空大手エアバスの08年航空機受注は前年比42%減となった。
 航空機発注の延期やキャンセルが目立っており、「中期的に20〜30%の生産カットが続く」(業界関係者)との声も出ている。

 オランダのフィリップスも 景気後退を受け、テレビ販売などが急減し、08年10〜12月期に5年ぶりに最終赤字に転落した。

 08年通期でも1億8600万ユーロ(約236億2200万円)の赤字に陥った。

 「米国の銀行は損失処理で道半ばまで来ているが、西欧は相当遅れている。

 東欧への融資の焦げ付きなどを通じ景気悪化が起ころうとしている」。

 4月21日、IMFで金融市場を調査・分析しているダテルズ氏は西欧諸国に、“イエローカード”を突きつけた。

 各国の財政出動や超低金利政策、銀行国有化など政策の総動員で「景気後退は最悪期を脱した」 とされ、一部では光も見えている。

 それだけにIMFが、東欧への融資を巡り、西欧に突きつけた警告は、「重大なショック」だった。


 金融機関の損失処理が続くうちは、企業への貸し渋りや貸し剥がしは続かざるを得ない。

 これがさらに景気の下押し圧力となりかねない。

 IMFによると、西欧金融機関の東欧への融資は東欧域内GDPの約52%に上る。

 米国・カナダの2・1%、日本の0・7%に比べ異様な突出ぶりだ。

 この借り入れが 東欧の経済成長の原資だった。

 しかし、金融危機により西欧金融機関自身が資金繰りに窮するようになると、資金流入がストップ。

 株式投資などを通じた資金の引き揚げも起こったことで、株価と通貨に大きな下げ圧力が加わった。

 外需依存度が低く、比較的健全とされるポーランドなどはさておき、ハンガリーやルーマニア、ラトビアなどIMFの支援を受ける国々は、西欧にとって「成長の種」から「悩みの種」へと化してしまった。

 危機に直撃された国々は外銀からの過剰借り入れと、経常・財政赤字が目立つ点で共通している。

 IMFによると、08年9月末の外銀からの借入残高の対GDP比はエストニア68・8%、ラトビア57・6%、ハンガリー50・2%、ブルガリア34・9%、ルーマニア32・5%。

 東欧諸国では外資が国内回帰で流出し、通貨が暴落、危機が深刻なものとなった。

 東欧に融資を集中させてきた西欧のなかでもオーストリアは、GDPの7割に匹敵する額が東欧向け融資だ。

 ベルギーは30%、オランダ15%、イタリア10%に上る。

 ムーディーズによると、オーストリアのライファイゼン銀行は、リスク資産の54・5%を東欧向けが占め、過剰なリスクを背負っている。

 同国のエアステ銀行もリスク資産の37・7%が東欧向け融資だ。
 オーストリアの銀行資産はGDPの3・8倍。

 金融立国を推進してきたアイルランドや英国ほど高くないが、銀行破綻が相次いだ場合、「国が支えられるのかが疑問」との声が燻っている。

 西欧の過剰な融資は東欧に限らない。

 西欧の新興国に対する融資残高は、先進国GDP比で9・6%に 達し、過去10年でほぼ倍増させたのに対して、米国は微増にとどめたほか、日本とオーストラリアは減らしている。

 自国市場が飽和した西欧の銀行が、「成長確実な東欧に融資したことと、結果的にハイリスク・ハイリターンとなったサブプライム関連商品を買い漁ったことは通底する」と言えそうだ。

 IMFが西欧に警告を突きつけた背景には、こうした構造的な問題が横たわっている。

 IMFや欧州復興開発銀行(EBRD)の金融支援で危機は小康状態を保っている。

 だが、低賃金を武器に「西欧の工場」として、近年高成長を続けてきた東欧の勢いはもはや見られない。

 米、リーバイ・ストラウスは21年前、ハンガリーに工場進出した。
 東欧では、旧共産党政権が相次いで終焉を迎え、ジーンズは西側の象徴として人気を集めた。

 ハンガリー工場はその後西・東欧へのジーンズ輸出の拠点となったのだが、欧州の急激な景気悪化を背景に、09年6月末に工場を閉鎖することになった。

 ハンガリーの09年の成長率見通しはiMFによるとマイナス3・3%。
 民間調査機関のなかには6%の大幅マイナスを予測するところもある。

 だが同国の中央銀行は3、4月ともに政策金利を年9・5%のまま据え置かざるを得なかった。 景気回復を優先し利下げすれば、通貨暴落に再度襲われかねなかったためだ。


 ハンガリーの市民の間では、経済成長で価値を増した自国通貨フォリントより金利が低い外貨建てで住宅ローンを組むのが一般的だったが、昨年秋以降の急激なフォリント安で返済負担額が増加、住宅ローンの返済に窮する人が続出し、社会問題化している。

 こうしたなかでIMFは09年11月、ハンガリーに251億ドルの支援を行うことを決定した。
 一方政府も財政再建などの改革路線を強化したが、国民の不満は強まり、3月にジュルチャーニ首相が辞意表明に追い込まれた。

 実体経済の悪化による不良債権増加などの問題が顕在化するのは、むしろこれからだという指摘も多い。

 米銀大手JPモルガン・チェースは、ハンガリー、ラトビアなどに融資した債権の不良債権比率はピーク時で15〜25%に達すると推測。

 同時に返済・借り換え(リファイナンス)リスクも忍び寄る。

 IMF推計によると、新興国の銀行や政府は今年1兆8000億ドルの債務のリファイナンスが必要になり、その多くは東欧のものという。

 そして、その借入金は、軒並み外貨準備を上回っている。

 これまで他国の融資に依存してきた東欧だが、欧州全体も似たような構図にある。

 しかし、景気てこ入れのため、濃淡はあっても各国政府は自国の銀行に自国融資を拡大するよう迫り始めた。

 成長を支えてきた国境を超えた融資が縮小しかねず、「欧州金融市場の空中分解と景気悪化回避のための銀行指導の間で運営が続くことになる」との声もある。

 欧州には財政規律を重んじる風土がある。

 IMFは英国の10年度の財政赤字がG7中で最悪になると予想するが、英イングランド銀行のキング総裁は政府の景気刺激策を牽制、政府は4月公表した09年度予算案で大規模追加支出を断念した。

 財政出動を絞れば、需要不足により企業業績がさらに悪化して失業率が急増、それがさらなる消費の悪化、企業の生産停滞を招く負のスパイラルに陥る可能性もある。

 そうなれば、実体経済悪化に伴う不良債権増をきっかけとした金融危機第2波の襲来も現実となりかねない。

 欧州経済はいま最悪の状態を回避できるかどうかの瀬戸際に立っている。






□まとめ、感想など

 日本が不況だというなら、ヨーロッパは大々不況だということだろう。