■九州新幹線の2011年の開通が決まったようだ。
2011年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開通をにらみ、JR熊本駅と周辺の再開発が動きだした。
福岡‐熊本‐鹿児島の3市をつなぐ同ルートは、関西やアジアなどからヒト、モノ、カネを九州に呼び込む重要な「縦軸」となる。
すでに新幹線が走る博多、鹿児島中央の両駅はリニューアルが進む。
熊本駅はどうか。現状と課題を探った。
全線開通までに表玄関を改装する工事に、熊本県がかける費用は約130億円。
駅舎と向かいの再開発ビル予定地をつなぐ歩道橋を設けるほか、市電の電停を約60メートル南に移し、電停を覆う大屋根(約1000平方メートル)を造る。
これができれば、多くの観光客が雨にぬれずに市電に乗れるようになり、約2キロ北東にある熊本城など市中心部への足回りが便利になる。
ただ、県は「あくまでもまだ暫定的な整備」としている。
新幹線開通後の16年には駅舎を高架化。
世界的建築家の安藤忠雄氏が手掛ける予定で、熊本城をイメージした新たな駅舎に生まれ変わる。
さらに駅南には、熊本城周辺にある国の合同庁舎も移転してくる。
駅向かいの再開発ビル構想は、熊本市が総事業費205億円をかけて進めている。
「熊本のランドマークにしたい」と市が強調するビルは、高さ123メートル、県内一のノッポビルとなる。
住宅棟とは別に、郷土情報コーナーを備えた情報交流施設などをつくり、熊本を訪れた人々への情報提供の場としたい狙いがある。
市は当初、このビルを全線開通に合わせて完成させる方針だった。
しかし、用地買収が難航し、完成は全線開通後の12年にずれ込む見通しだ。
「これ以上の遅れは許されない」。
熊本市熊本駅周辺整備事務所の岡田啓典次長には焦りがにじむ。
空き地が目立つ熊本駅周辺は博多、鹿児島中央に比べると、ハード整備の出遅れは否めない。
再開発は官主導で進み、民間の動きは鈍い。
そこに世界的な金融危機が追い打ちをかけている。
「熊本がただの通過駅になるのは避けたい」と経済団体の幹部は危機感を募らせる。
全線開通すれば、約1時間20分を要する博多‐熊本間はわずか35分に短縮される。
福岡や大阪にヒトやカネが吸い取られる「ストロー現象」への懸念はあるが、一方で熊本には阿蘇の大自然、豊富な地下水、温泉など国内外の観光客を呼び込む底力もある。
「観光立県」を掲げる蒲島郁夫知事はそれを視野に、今からトップセールスを活発化させている。
新幹線をテコにしたまちづくりは、長期的な視点で臨む必要がある。
今は「三番手」でも10年後、熊本が九州のトップランナーに躍り出ることもできるはず。
地場政財界は知恵を絞るときだ。
□熊本城の画像を。

□まとめ、感想など
う〜ん、取らぬ狸のなんとか…という気がしてならない。
北陸新幹線が開通して、新潟はどうだったのだろうか。
まず、そのあたりの成功と失敗を研究する方が先ではあるまいか。
あぁ、福岡という先例もあったなぁ。
新幹線は単なるインフラに過ぎない。
要は、人を、観光客を呼び込めるだけの魅力を持たせることができるかどうかの一点なのだ。
人は、いろんなことに興味を持つ。そしてその興味とか好みは時代ともとに変化する。
その変化を先取りして、魅力あるポイントをつくれるかどうか…なのだ。
□九州の東西で格差ができているという記事があった。
★:2010/03/19(金)
18日に発表された平成22年公示地価で、九州(沖縄を除く)・山口8県は全県で平均価格が下落。
用途別で住宅地と商業地の平均価格でみると、全8県で下落率が前年より拡大した。
福岡−鹿児島を結ぶ九州新幹線全線開業まであと1年。
発着地点となる鹿児島中央駅周辺の商業地2地点で変動率がゼロとなるなど、鹿児島市では新幹線への期待感から、需要が比較的堅調に推移した。
不動産鑑定士、i氏によると「鹿児島中央駅周辺では、地元の企業による取引が動いている」。
一方、駅から約2キロ離れた繁華街、天文館地区では「商圏が分散したことから、空き店舗が目立つ。
市南部に大型ショッピングセンターができたこともあり、地盤沈下が進んでいる」という。
新幹線4つの駅が設置される熊本県でも、熊本駅に近い住宅地1地点が、県内唯一の変動率ゼロ地点となった。
伊牟田徹・不動産鑑定士は「熊本駅から約3キロ離れた従来の繁華街には新幹線効果はあまり出ていない」と分析する。
これに対し、大分、宮崎両県は「取り残され感」から不動産取引が低迷した。
大分県の地価を分析した不動産鑑定士、a氏は「新幹線開業で九州内の東西格差が拡大し、『大分はどうなるのだろう』という心理的要因が不動産取引に与える影響は大きい」と指摘する。
より深刻なのが宮崎県。九州・山口内でみると、マイナス幅は小さいが「従来の価格水準が低いから下げ幅が小さいだけ」(i不動産鑑定士)。
「九州各県で企業が支店撤退が一番早く、支店進出が最後になるのが宮崎」という地理的条件の悪さに加え、県内の重要産業である公共工事の削減で、県内景気は低空飛行を続ける。
i氏は「九州新幹線が開業する西側に比べ、『とてもじゃないが宮崎は…』という悲観論が強く、不動産取引が成立しない状況を招いている」とみる。
□感想など
新幹線が東側を通らないなら、一番、近い新幹線の駅からのアクセスをよくする方法はないか…と考えるべきであろう。
ベストではくても、ベターの解決策をみつけるべき。
□2011.5.13の記事から。
■九州新幹線効果見えてきた 全線開通2カ月、飲食店など好調
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九州新幹線が全線開業して12日で丸2カ月を迎えた。
東日本大震災で心配された鹿児島県内への観光客は大型連休を中心に増え、民間の調査でも 鹿児島人気が裏付けられた。
飲食店の利用や駅弁の売れ行きは予想を上回る好調ぶりで、ようやく「新幹線効果」が表れ始めた
と言えそうだ。
九州新幹線全線開業後、新幹線を利用して鹿児島を訪れる県外客が増えていることが、
鹿児島地域経済研究所の調査でわかった。
直通運行が始まった関西、中国地方からの観光客の 割合が増えており、「一定の全通効果はあったのではないか」と分析している。
3月下旬にJR鹿児島中央駅構内で行った調査によると、新幹線利用客のうち県外客は61.6%。福岡や広島、大阪からの観光客が目立った。
県外客が県内客の割合を上回ったのは、部分開業後の 2006年の調査以来5年ぶりという。
■桜島・指宿が人気
全利用客のうち、3月12日の全通後に初めて九州新幹線を利用した割合は47.5%。
県外客に絞って見れば、「初めて」の割合が全通前の20.9%(昨年)から、全通後は
58.5%と3倍近くに伸びた。
全通が新幹線利用のきっかけになったことが読み取れる。
利用目的別では、全線開業後の全利用客のうち「ビジネス」と「観光・レジャー」で過半数を占めた。
「観光・レジャー」で訪れた県外客の81%はホテルなどに宿泊、滞在型観光が増えつつある。
半面、ビジネス客は日帰りの割合が全体の3割に上る。
また、観光・レジャー目的で来県した県外客の中で、目的地として最も多かったのが 「鹿児島市内」(67.8%)。
市内に来た客の半数近くが桜島を訪れており、鹿児島観光の シンボルとして根強い人気がある。
「指宿」(39.5%)は2位。
観光特急「指宿のたまて箱」の効果が表れた形といえそうだ。
地域経済の分析・調査を担う鹿児島地域経済研究所は鹿児島銀行のグループ会社。
調査は3月下旬の4日間、新幹線改札内コンコースで行い、2180件の有効回答を得た。
鹿銀の頭取は「新幹線効果はあったと評価すべきだ。
大阪以西の移動では今のところ 空との戦いに少し勝っているだろう。
より来県してもらうために何が足りないのか、今後は 整理する必要がある」と話した。
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■にぎわう天文館
鹿児島市の繁華街・天文館でも、新幹線効果に手応えを感じている関係者が多い。
「We Love 天文館協議会」の牧野繁専務理事は「特に大型連休中の天文館はすれ違う人同士の
肩がぶつかるくらいで、15、16年前の全盛期を思わせるにぎわいぶりだった」と話す。
連休以外でも関西や中国、四国方面の観光客を見かけるようになったといい、「全線開業以降、 県外客は確実に増えた。開業を機に鹿児島の名が知られ、新幹線以外で来県する県外客も多くなった」とみる。
■駅弁販売も好調
全線開業で駅弁を購入する旅行者も増えた。
JR鹿児島中央駅などで駅弁を売る松栄軒(出水市)では、開業前に比べ販売が2、3割アップ。
開業後は従業員を増やし、駅内にある工場を2交代にして対応している。
特にすごかったのが 大型連休。夕方に商品を追加しても午後7時には売店の棚が空になったという。
特産の黒豚や牛を使った「鹿児島よくばり弁当」(1100円)や 伝統の「えびめし」(900円)が人気で、車内販売では、たくさんのおかずを楽しめる 「薩摩おごじょ」(1100円)が売れ筋。
薩摩焼を使った2500円の「曽於さくら牛しぐれ碗(わん)」も予想以上の売れ行きだった。
□感想など
確かに関西地方にいる筆者でも、熊本の温泉にでもいこうか…という気分にはなる。今までより、身近に感じるということなのだろう。
しかし、まだ開業して半年も経っていないのだ。
効果とか影響を測るにしても、そこから判断するには少し早すぎるようだ。
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