■サクラの花に酔う





 
大川端のサクラ並木は、もう、満開だった。

 白っぽいサクラの花々は、途の両側に集(つど)って、まるで、霞みのような感じで中空を覆っている。

 ソメイヨシノの花は、決して色鮮やかではない。目立つ色ではない。
 その薄ボンヤリした淡淡しさが、日本人の好みにかなっているのだろう。

 時々、新聞記事などで、外国の紅葉の美しさとかが、載ることがある。
 しかし、私などにはどうも違和感がある。

 美しさを感ずるということは、色が鮮やかであるとか、派手であるとかということと必ずしも一致しない。

 そこに「見慣れる」ということもあるのだろうが、周りの風景、建造物などと調和し、また、文字として、映像として長い間に蓄積された自分自身の「イメージ」と重ねて見て、始めて感ずるものではないだろうか。

 平安の歌人は、「しずこころなく花の散らん」と詠った。
 花は、今も、見る人のこころをかき乱す「なにか」がある。

 多分、サクラは、自分自身のこころの中にある「無常ということ」を感じさせる「年に一度のメッセージ」なのであろう。