■正常価格



 
不動産には個別差があり,取引自体には秘密性が高く,取引市場も形成されていません。

 そこで,適正な不動産価格を査定するために、昭和39年に鑑定評価制度が誕生し、不動産鑑定士による鑑定評価が行われるようになりました。


 
鑑定評価作業は、合理的な市場の機能と同じ内容を持ち,適正な価格が求められます。

 採用される方式は,3つの価値の検討です。


■「原価方式」は、その不動産のコストはいくらであったかという視点からの検討であり,
■「比較方式」は、事例との比較からの検討であり,

■「収益方式」は、どの程度の収益があるかという視点からの検討です。

 求められる価格の種類には、「正常価格」「限定価格」「特定価格」があります。

●「正常価格」は、市場性をもつ不動産について,自由な市場で形成される価値を表わす適正な価格をいいます。

●「限定価格」は,例えば隣接不動産とを併合する売買,経済の合理性に反するような不動産を分割する売買に関連し,当事者間の利益の公平を目的とした価値を表わす適正な価格をいいます。

●「特定価格」とは,企業の合併時における資産の再評価などのように市場を考えない場合など特定の条件に対応する価格をいいます。

 次に、通常いう価格は、「呼値(よびね)」「売希望価格(うりきぼうかかく)」「実勢価格(じっせいかかく)」等と呼ばれる価格で,期待見込価格なのです。

 所有者は少しでも高く,買主は少しでも安く買いたいというのが人情であり,成約時においては,売主は少し安く売り,買主は少し高く買ったというところで妥協するでしょう。


 このように
取引価格は、主観的・相対的な価格であり,客観的な価格である「正常価格」とは差が生じます。

 
このように「正常価格」は、客観的な価格指標なのです。


 正常価格を中心に売り主・買い主の諸々の事情や動機により綱引がなされた結果が取引価格であり,実勢価格でもあるのです。

 したがって,両者の問には差が生ずるのが通常です。