■借家権の鑑定評価




1.借家権の説明
 

 建物,とくに借家法の適用を受ける建物の賃借権をいう。

 賃借人は家賃支払い等の義務を負うが、借家法は、建物賃借人がその引渡しを受けていれば、建物の譲受人等に賃借権を主張しうるものとし(→借家権の対抗力),賃貸人からの解約の申入れや期間満了後の更新拒絶には正当の事由を必要とし(→借家契約解約の正当事由,借家契約の更新),さらに契約終了の場合には借家人からの造作買取請求権を認める等,借家人に強い保護を与えており、これを借家権と呼んでいる。

 なお借家権は相続の対象となるが,相続人がなく内縁の妻などが借家人と同居していたようなときは,その同居人が借家権を承継する。

□繰り返せば

 一時使用の場合を除いて借家法の適用対象となり、
@対抗力の付与、
A存続期間の延長等が図られた。

 すなわち、建物の引渡しを受ければ第三者に対抗することができ、借家期間を1年未満と定めた場合には、期間を定めなかったものとみなされる。

 なお、建物の「一部」についても、その部分が独占的、排他的支配の可能性を有するときには、借家権が成立する。

 しかし、いわゆる間借りについては、判例は独占的排他的支配がないという理由で、借家権の成立をほとんど否定している。



2.借家権価格とは

 借家権価格は、借家権の取引慣行があり、借地権価格に準じて考えることができる場合と、賃貸人から建物の明渡しの要求を受け、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失することとなる経済的利益等が具体に現れる場合である。

 これは、戦前、商店街での営業権・造作費等の複合形態として発生したものであるが、戦後、住宅不足に伴う居住権の強化や立退料の高騰等により一般住宅についてもその発生がみられる場合もある。

 借地権の場合に比べ熟成度は低く、特に期間・譲渡性・更新料等は異なる。



3.借家権価格の評価

 鑑定評価では通常次の価格を試算し鑑定評価額を求めている。

 比準価格、自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除した価格、借家権割合により求めた価格、立退補償相当額より求めた価格。



4.その他留意事項

 平成4年に借地借家法の改正があり、それ以前からの借地、借家については旧法がそのまま適用されることに注意。