■人工光合成  …東芝





世界で最も効率よく人工光合成 東芝が技術発表

2014.11月27日


 植物が太陽の光を利用して水と二酸化炭素からエネルギーを作り出す「光合成」の原理を応用した、 いわゆる「人工光合成」の研究で、東芝は、世界で最も効率よく人工光合成を行うことができる 技術を開発した。

 人工光合成は、太陽の光を利用して水と二酸化炭素からエネルギーを作り出す植物の 光合成の原理を応用して、メタノールなどの燃料を人工的に作り出す技術で、 世界各国で研究が進められています。

 国際学会で、東芝は、人工光合成を行う工程に、 特殊な半導体や表面に加工を施した金の触媒を使うことで、太陽光エネルギーから メタノールなどの原料である一酸化炭素を作り出す変換効率を1.5%に高めることに 成功した。
 東芝によりますと、これは藻類に匹敵し、現段階では世界で最も高い水準だと。

 実用化には、変換効率を10%程度にまで高めることが必要とされるため、 東芝は技術の改良を重ねて、2020年代の前半をめどに実用化を目指す。
 人工光合成は、植物の「光合成」の原理を応用して新たなエネルギーを生み出すだけでなく、 大気中の二酸化炭素を使うため、地球温暖化対策にもつながる環境に優しい技術としても期待されています。

 このため、日本の大学、トヨタ自動車やパナソニックも新たなビジネスチャンスを求めて 実用化に向けた研究に乗り出し、欧米や中国、韓国など海外勢との 技術開発競争も激しくなってきています。


□人工光合成とは

 人工光合成は、研究が進められていますが、大きく2つの過程がある。
 太陽光を使って水を酸素と水素イオンに分解する過程と、この過程で生まれる電子エネルギーで 二酸化炭素を分解し、一酸化炭素を作る過程です。

 この技術を使って、例えば二酸化炭素を一酸化炭素に変換し、その一酸化炭素を 化学的に処理することでメタノールを作り出せる。
 メタノールは燃料だけでなく、医薬品やペットボトルなどの原料にもできるため、 人工光合成が実用化されれば、幅広い産業への波及効果が期待されています。

 人工光合成の技術は、日本の大学などが研究開発を進めてきましたが、 エネルギー資源の確保や地球温暖化の防止に役立つとして注目を集め、アメリカやEU=ヨーロッパ連合のほか、中国、韓国などが次々に国を挙げたプロジェクトを発足させ、開発競争は激しさを増しています。
 日本企業では東芝のほか、トヨタ自動車やパナソニックも研究開発に乗り出しています。


□東芝が開発した技術は

 東芝が開発した技術は、まず水の中に入れた特殊な半導体に太陽光を当てることで 水を酸素と水素イオンに分解し、電子を取り出します。
 次に、この電子のエネルギーを使って、二酸化炭素を表面加工を施した金の触媒で 一酸化炭素に変換する仕組みです。

 上掲の映像は、東芝の実験のうち、二酸化炭素を金の触媒で一酸化炭素に 変換するところを撮影したものです。
 金色の触媒の表面から出ている泡が一酸化炭素です。

 東芝によりますと、従来の技術では太陽光を利用するのに酸化チタンなどの材料を使っていました。
 しかし、これらの材料では太陽光エネルギーのうち紫外線しか利用できないため、 エネルギーへの変換効率を高めることが難しかった。

 このため東芝は、今回、シリコンやゲルマニウムを重ね合わせた特殊な半導体を使うことで、 紫外線以外の可視光も含めて、太陽光をより効率よく活用できるようになったとしています。

 さらに、表面に微細な加工を施した金の触媒を使うことで化学反応を促進させ、 二酸化炭素を一酸化炭素にする効率も高めたということです。








 この結果、太陽光エネルギーを燃料の原料になる一酸化炭素に変換する効率は、 藻類に匹敵する水準の1.5%に達したということです。


□i教授「長時間もたせるのが今後の課題」

 人工光合成の分野に詳しい首都大学東京のi教授は、 「エネルギーの変換効率が1%の領域に入ったことは非常に意義があり、またそれが日本の研究グループから出たということはすばらしいと思う。

 人工光合成の国際学会では、この数年間で企業の研究成果が出始めており、非常に歓迎すべきことだ。
 ただ、今は一定の時間反応するものが多いが、これを長時間もたせることができるかどうかが、 今後の課題になる」と。


□ノーベル化学賞の根岸氏「日本は研究大国に」

 今回の学会に参加している、2010年にノーベル化学賞を受賞したパデュー大学の 根岸英一特別教授は「日本企業はこの分野で世界をリードする位置に入ってきた。
 今回の国際学会でも、日本がこの分野で5本の指に入るくらいの研究大国になっていることが はっきり示されたと思う」と話しています。




■筆者の感想など

 確か、岡山大学あたりで、光合成のメカニズムが解明されたのが、数年前だったと記憶する。
 あれから、一挙に研究が進展した--という気がする。

 パナソニックも同様の研究で、記事になっていた。
 東芝の研究は、変換効率が1%の大台にのった--ということで、注目されたものと思う。
 実用化できるのは、変換効率が10% か。

 まだまだ、前途程遠しではある。
 それでも日本には、アドバンテージがあるのであろう。
 頑張って頂きたい。